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昨今話題の国際ロマンス詐欺 その先駆者は北朝鮮? 

 昨今、話題になる国際ロマンス詐欺。国際ロマンス詐欺とは、外国のパイロットや実業家、皇族の御曹司、はたまたアフリカ系の人がヨーロッパの美人を名乗り、SNSなどを通じて対象者に接触し、多額の金銭を要求するものが知られている。

 そうした、国際ロマンス詐欺で、ついに日本人が指名手配されるようになってしまった。

 そんな国際ロマンス詐欺の先駆者が北朝鮮かもしれない、そんなことを思い出した。しかも、その被害は金銭レベルの被害ではなく、人権問題に発展するものである。その一端を書いてみたい。

<フランス人拉致>

 韓国人女優で北朝鮮に拉致された経験を持つ崔銀姫の著書「闇からの谺」にその端緒があるのでご紹介する。

 舞台はフランス。フランスに派遣された北朝鮮の工作員は、東洋の富豪の子息のふりをしてフランス人女性に接近、物量攻勢で誘惑し、彼女は誘惑に負けて工作員と婚約した。

 工作員は婚約記念旅行と称して中国国内を観光して平壌におびき寄せ、彼女には「両親に挨拶をしたらパリに帰る」と話し、平壌国際空港まで連れ出すと彼はいなくなり、代わりに別の工作員が現れた。

 フランス人女性が「婚約者を探してほしい」と別の工作員に頼んでも、「そんな者はここにはいない」と、彼女を軟禁し、洗脳工作を開始した。騙されたことを知ったフランス女性は、泣き叫んで抗議したが、女性はどこかに連行されてしまい、その後は消息が途絶えてしまった。

 この話は、北朝鮮工作員・金賢姫の著書「いま女として」の中にも類似の話が書かれている。世話係の女性から聞いた話として「この前、拉致されてきたかわいい外国人の女性がいたんだけど、北朝鮮工作員にだまされて連れてこられた。北朝鮮にくるやその工作員はどこかに消えてしまい、女性は『工作員を探してくれ」』と何回も頼んだけど、毎日殴られていた」などと言及されている。

 

<その他の外国人拉致にも北朝鮮が日本人の肩書を悪用>

 フランス人の事例は北朝鮮が働いた国際ロマンス詐欺の一端でしかない。産経新聞2017年12月30日付「日本の『信頼』悪用した拉致も… 海外でも頻発した北朝鮮の国家犯罪」によると、北朝鮮が外国でしてきた拉致の多くが日本人や日本企業を名乗っていたことが判明した。それぞれ、記載された概要を紹介する。

 1978年8月、シンガポール沖合の船上パーティーに派遣された19〜23歳のマレーシア人女性4人と、シンガポール人女性(24)が船ごと行方不明になった。「イワモト」と「タナカ」と日本名を名乗る北朝鮮工作員が5人の派遣を依頼したという。

1978年7月、当時23歳だったタイ人のアノーチャー・パンチョイさんや、中国人女性2人がマカオで失踪した事件では、「イケダ」と名乗る工作員の男の関与が指摘されている。

※韓国人拉致被害者・崔銀姫著「闇からの谺」では、「東北里の招待所で散歩中にマカオから拉致されてきた孔令譻と知り合った。彼女たちはその日、日本人を名乗る裕福そうな男性2人に観光ガイドを頼まれており、彼らのガイドのため海岸に行った 。すると、そこでナイトクラブで働いているという10歳くらい年上の初対面の女性らと4人がボートに乗せられ海岸付近を巡回したのち、沖に出て無理やり大きな船に乗せられて北朝鮮に連行された」などと言及されている。このなかのひとりがタイ拉致被害者・アノーチャ氏であるという。

 また、インターネットで検索すると「金正日の料理人・藤本氏がキム・ナムスという人物の写真を紹介し、このキムは小林という日本名で、同じく日本名で山田というキム・ジョンホンと両名で、アジアの拉致に大きく関わっていた可能性がある」などと紹介する記事もある

1978年8月にレバノン人女性4人が拉致された事件では、工作員は「日本企業の秘書を募集している」と持ちかけ、実在する日本の企業名を挙げ、独身でアラビア語やフランス語に堪能なことなどを条件にしていた。4人はその後、「日本研修」を口実に空路拉致された。

※ちなみに、インターネットで検索すると、日本企業は「日立製作所」と出てくる。

 昨今話題の国際ロマンス詐欺だが、1970年代の北朝鮮は、外国人を拉致する常套手段として裕福な日本人と名乗って拉致を繰り替えしており、北朝鮮にとって国際ロマンス詐欺は常套手段とも言える。

 拉致被害者・田口八重子さん失踪に関しては、様々な話があるが、何が真実か、判然としていない。田口さんは失踪当時、池袋のキャバレー「ハリウッド」で働いていたとのことであり、もしかすると、客として訪れた男性(北朝鮮関係者)と恋仲になり、北朝鮮に拉致されたのかもしれない。

 他方、日本では、特定失踪者と言われる北朝鮮による拉致の可能性がある失踪者がいる。こうした失踪者の中にも、国際ロマンス詐欺に引っかかり、北朝鮮に行った人がいるのかもしれない。

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