MENU

経済 弱り目に祟り目 事業再建を目指す企業を食い物にするハイエナ経営者

企業を運営するには資金面やマンパワーなど様々な要素が重要になるほか、経営者の手腕というものが問われる。ソフトバンクグループの孫正義CEOなどは、投資に失敗するなど赤字も生み出しながら、事業拡大に取り組んでおり、いまだに経営の第一線を走っている。

 しかし、そんな企業ばかりではないのが会社経営というものである。今回は、そんな悲運の会社の一つとして、株式会社A.L.I.Technologies(上場会社は米AERWINS Technologies Inc)がある。今回、同社社員に現状などについて話を聞くことが出来たので、経営者が変わる経緯や変わってからの悲劇的な経営実態をご紹介する。

 ALI社は、2017年2月に小松周平氏が、債務超過に陥っていたドローン事業を買収し、新規にエアモビリティ事業、ドローンサービス事業、分散コンピューティング事業の会社として設立したものである。
 
 元々、赤字事業を買収したものであったが、小松氏の経営手腕によって持ち直し、ドローン事業の黒字化などに成功した。また、”XTURISMO”という実用型エアモビリティを開発し、レスキューや砂漠の移動など弱者のための次世代モビリティの先駆者にもなっている。2022年に日ハムの新庄監督が乗ったパフォーマンスは記憶に新しいのではないだろうか。

 2023年2月には、日本企業としては初めて、米投資会社PONO CapitalとのDe-SPAC契約によって新設した持株会社である米国法人AERWINS Technologies Inc.が米証券取引所NASDAQに上場する。⼩松⽒は昨今のSPAC償還金額の大きさを踏まえ(SPAC投資家の償還率は米金利と共に上下するため、対象企業がどうかはあまり関係ない)、SPAC投資家による大きな資金獲得がし難いと判断し、資本政策に上場時の時価総額に対して最大1.5億ドルを調達できる契約を成立させたことが開示情報となっている。この結果、De-SPAC直前のPONO社の株価は$18近くまで上昇する局面もあったことから、大きな期待が持たれていた事が分かるだろう。また、UAE、米国政府との取り組みについても小松氏がCEO時代には様々なニュースで取り上げられていた。
 
 しかし、上場直後にIndependent Directorが⼩松⽒を退任に追い込む事件が勃発する。その退任劇については、SPACサイドと経営や資本政策を巡る対立から社内クーデターに遭ったようだ。

 その後、後任として、SPACサイドからネイティブ英語が話せる人物ということで選任された伊東⼤地⽒なる人物がCEOへ 就任するのだが、冒頭にご紹介した同社社員によるとこの伊東氏がいわくつきの人物なのである。

 金融市場では創業者の解任劇と何の実績も無いであろう新しいCEOへのネガティブな評価から同社の株価は上場以降続落し続けている。

 同社社員によると、伊東CEOは、今年4月に社員全員の前で、今後の中東に向けた⼤規模な資⾦調達と大きな事業構想を発表し、⾃分が会社を⼤きく成⻑させると豪語していたようだ。しかし、伊東⽒はその後、新しい資金調達もしなければ、小松氏が残した資金調達契約も履行しない、UAE政府との契約も⾏わない、IR 活動、PR活動もしない状態が続いたという。女性社員を連れて頻繁に飲みに行き、会社から5分の移動距離にタクシー経費を切る、社内外からも経営に関する能力不足という声があってもそれを無視。独断専行で人的配置も資金計画もやりたい放題だったという。声を上げる社員達には逆ギレする子供のような人物だという。

 伊東⽒は社員に給与が払えなくなる前に⾃らの給与を⽀払うよう財務担当に指⽰し、これが実⾏されるが、社員には還元されることは無かった。後⽇、社内からも「それは犯罪⾏為だ」と指摘を受けるが、返⾦をしなかったという。以降、会社の支払いが滞る事態が相次ぐ。
また、開示情報によると、伊東氏は会社のインセンティブ報酬を5月に受け取っていることが分かる。

 資金難が表面化し、追い詰められた伊東氏は米国投資家をIndependent Directorとして迎え入れ、資金繰りを託すが、伊東氏がその投資家に事前に説明していた内容に誤りがあることが発覚したため、まだ投資は実行されていない。また、Independent Directorの合議性が強く、優先交渉権を持っているとも思われるため、他の日本投資家からの投資も簡単には容認されない状態となっている。

 5 ⽉ 31 ⽇以降、従業員経費精算および、ほぼ全ての取引先への⽀払いが不能となり、3/4以上の従業員が解雇され、7月には多くの社員の雇用契約が終了を迎えている。

 小松氏の解任についても伊東氏が自ら画策していたという話も飛び出しており、それとともに、なぜ伊東⽒はそんなことをしたのか。上記の通り給与やインセンティブを自分にだけ支払わせているところを⾒ると、会社経営が悪化することを見越し、裏で何か⾦を毟り取ろうとしていたのかとしか思えない。(以上、同社複数社員による取りまとめ)

 すなわち、伊東氏は、何らかの悪意を持って持ち前の英語力で日本語が通じない米国サイドを丸め込み、創業者を排除し、上場したばかりの同社のCEOに就任したが、会社経営の素人であったため、会社を立て直すどころか、私的に給料やインセンティブだけを搾取し、潰そうとしているとしか見えない。

 このように、企業が頑張って事業拡大や経営再建の道を探るときに、悪しき心を持った詐欺師の口車に乗って良心的な経営者をパーチしてしまい、会社として存続の危機に陥るというケースもあるということだ。

 このまま、伊東氏が経営者として存続していても、会社として何らかの不正行為に巻き込まれ、企業として更なる大ダメージを受けかねないと思われる。伊東氏のCEOとしての行動については、給料搾取、職務怠慢、サボタージュなど問題行動が多数あると思われるところ、今後、株主達が伊東氏を告発し、伊東氏の私財による経営再建の道を模索することも一案として考えるところである。または、当時8セントまで株価が下がり、倒産寸前状態で復帰した創業者スティーブ・ジョブズによって立て直され、今や世界最大企業の一角のApple社のように小松氏がここで復帰するということもあるのだろうか。日本を代表するエアモビリティの第一人者だっただけに、悲劇的すぎる結末は日本の技術流出を抑えるためにも何とか避けてもらいたい。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA