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沖縄県議選の裏 小渡の場合

 前回2020年の県議選で、沖縄市区から初当選した自民の小渡良太郎氏。
 沖縄市議から転身し、2度目の挑戦で議席をつかんだ前回に続いての再選を目指す。
 親族に、元衆院議員の小渡三郎氏、父に元県議会議員の小渡亨氏を持つ、政治一家のホープだ。
 地盤である市東部の泡瀬地域の支持者や企業回りに励む一方、街頭演説もこなして政策を訴えている。
 地元企業関係者ら数千人の会員を擁する「泡瀬復興期成会」からの推薦も得た。
 前回県議選ではコロナ禍で活動ができなかったことを踏まえ、地域回りを重視し、小集会を細かく開催する。市議団の支援も得て市内全域で支持拡大に汗を流している。
 一方、バックアップを期待する市議団との連携では不安も残す。
 現在、沖縄市議会議長を務める瑞慶山良一郎市議との確執だ。
 瑞慶山氏は2002年の統一地方選で、28歳で市議に当選し、政界入りした。

 2013年には、おもに20歳から40歳までの経営者層で構成される公益社団法人「日本青年会議所(JC)」の沖縄支部の理事長に就任するなど、地元経済界での活動を通じて政界での足場固めを進めている。
 瑞慶山氏は下地幹郎元衆院議員が結成した地域政党「そうぞう」から自民入りした経緯がある。

 下地氏は、衆院当選同期の菅義偉前首相と親しい間柄で、沖縄の基地問題を所管する基地負担軽減担当大臣を兼務していた官房長官時代には、その関係性はさらに近くなった。

 現在も沖縄で国政議員の中では突出した影響力を保持する菅氏だが、現在、その政治力を受け継いでいるのが、沖縄市を選挙区に持つ島尻安伊子衆院議員だ。島尻氏は安倍晋三政権下で、沖縄担当相に就任。政務官、副大臣という通常のステップを経ない抜擢人事には、官房長官だった菅氏の意向が強く働いたとされる。

 瑞慶山氏は、その島尻氏の古参秘書と気脈を通じており、首相時代に菅氏の総理秘書官も務めた秘書を加えた3人は特に関係が深いとされる。
 それは政務上の関係にとどまらず、ビジネス面にも及ぶ。


 3人は、それぞれの人脈、政治力を武器に、防衛省が発注する関連事業を、瑞慶山氏が経営陣に名前を連ねる地元企業を通じて受注し、得られた利益をそれぞれに分配するスキームを構築した。


 ただ、彼らが、これまで繰り返してきた公共工事の受注を主にする利益還流の手法には違法性が疑われる取引も含まれる。


 市議時代から瑞慶山氏との関係性が良好ではなかった小渡氏は、彼らが非公然に行うビジネスを問題視。メディアへのリークを試みたことがあった。


 しかし、一種のクーデターともいえる小渡氏の動きは関係者を通じて瑞慶山氏ら3人に伝わり、小渡氏が逆に詰問される事態となった。その後、この一件から派生し、島尻氏の前任として沖縄市を含む選挙区で衆院の議席を守っていた比嘉奈津美参院議員が衝突する事態にも発展している。当時のしこりは両者に残っている状況であり、選挙結果次第では、自民党県連の中枢にまで波及する火種になりかねないとの指摘もある。
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