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経済 山梨の農業の現状と未来

日本で農業に取り組む人はいるが、その多くが、元々家業が農業をしていて、引き継ぐというパターンが多く、新規参入にはいまだに門戸が狭いところである。そのような中、山梨県で新規参入した農業者がいる。

 甲斐市に在住の笠井翔銘さんだ。まだ30代である彼の栽培するきっかけや今後のビジョンをうかがった。

 山梨県では、様々な農産品が販売されており、桃やブドウなどの果樹のほか、一般的な野菜やブランド里芋など作られていた。その中で、ウコンに注目した。ウコンは県内の道の駅などで小規模で販売されていたが、価格は1瓶あたり3500円程度しており、健康に良いことは知っていたが、非常に高価であった。

 そこで、甲斐市の生産者の元を訪ね、近所の農地を借りて栽培を始めた。農業にはこれまで携わったことがなく、栽培方法を聞き小規模の耕作地から始めた。1年2年と続けながら栽培方法もわかるようになるともに、高齢化に伴い、農家が減ってきた。そこで、これはチャンスと考え、近年、農地の規模を拡大した。

 農業を始めた当初は、ウコンのみを栽培していた。実は、ウコンには複数種あり、4種類ほどの栽培を行ってきた。今でも、当方の主力農産品である。
〇秋ウコン:香辛料のターメリックを指す。クルクミン(ターメリックに含まれる黄色色素のことで、抗酸化作用があるポリフェノールに分類)が豊富に含有。
〇春ウコン:秋ウコンよりクルクミン含有量は少なく、辛さもあり、食用には向かない。しかし、100種類以上の精油成分(葉や茎などの含有成分、動脈硬化予防、ガン抑制になるとも)、ミネラル豊富で健康食品に用いられる。
〇クスリウコン:クルクミン含有量が非常に高く、匂いも強く、濃いオレンジ色をしており薬効が高いが、国内生産量は少ない。
〇紫ウコン:クルクミンがほとんどないが、精油成分が豊富に含まれており、胃薬に用いられたり歯周病の殺菌などの効果が判明している。

 農業を始めてから年数がたち、徐々にビーツやハト麦などの栽培を始めた。そうしたところ、ビーツの反響が良く、近所の道の駅や高級スーパーで取り扱ってもらえるようになってきた。現在では、高級スーパーの意向を受けて、タマネギやじゃが芋の栽培もおこなっている。

 農業を行って分かったことが、新規就農するにしても農地を借りることも一苦労、ということであり、新規就農者にやさしくない社会風土が円満しているということである。現在、日本各地に耕作放棄地が多々ある中、市役所の農地バンクに行くと、好立地の農地(例えば自宅周辺の農地、大規模農地、交通面が便利など)は既に借り手が居たり、農業を続けていたりしていた。他方、空いている農地はと言うと、遠かったり、バラバラに点在していたり、農業用水が使えない、交通面が不自由など、様々な問題点を抱えている。

 日本は、農業を振興したいと考えてるようだが、そうした現状があることを多くの政治家や政府レベルでは理解していない。また、新規就農者に対して農地を貸さないという風習のようなものも存在し、そうなれば工作放棄地は荒れ放題で、農地に戻すことも難しい。現在、耕作放棄地への課税を増加させて農地にするよう推進しているが、その規模の支援ではすでに間に合わないほどである。

 そこで、若者が新規就農したいというのであれば、そうした若者を農地提供、農業方法の伝承、販売経路の紹介、資金援助など、トータルパッケージで支援すべきである。
(以上、笠井さんのお話)

 ビーツと言う食べ物は聞きなれない方も多いだろうが、山梨に行った際、道の駅などでビーツを見つけた際は、ぜひ、手に取ってもらいたい。そのまま、皮をむいて千切りしてドレッシングをかけるだけでサラダになる(断面から赤い液が出ますが、血ではありません。ご注意を)お勧めする食材である。

 ちなみに、笠井さんの農産品は、JA農産物直売所「いーなとぅぶ竜王」(甲斐市篠原2635)などで販売されている。JA山梨みらいにお問い合わせを

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