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経済 弱り目に祟り目 事業再建を目指す企業を食い物にするハイエナ経営者 ②

企業を運営するには資金面やマンパワーなど様々な要素が重要になるほか、経営者の手腕というものが問われる。ソフトバンクグループの孫正義CEOなどは、投資に失敗するなど赤字も生み出しながら、事業拡大に取り組んでおり、いまだに経営の第一線を走っている。

 しかし、そんな企業ばかりではないのが会社経営というものである。前回、そんな悲運の会社の一つとして、株式会社A.L.I.Technologies(上場会社は米AERWINS Technologies Inc)について同社社員からの話をお伝えした(https://verdad.tokyo/archives/711)。今回は、創業当初から参画していた同社元社員A氏他と株主複数名にもお話を聞くことができたので真実をご紹介する。

同社は現在、上場廃止の危機に陥っているようだ。同社創業当初からの株主X氏によると、「かなり有り得ない水準の株価です(10月初旬時点)。3月にCEOの伊東さんから聞いていた話とだいぶ違う。」とのことだ。上場廃止となれば株式は紙屑となる。
創業期から応援していた株主からすると上場してロックアップ(売却制限期間)が外れてようやく利益を得ることができると思ったらどうやらそんな話ではないようだ。一方で、元社員A氏によると、上場時に全ての株主に同条件のロックアップがついていた訳ではないとのこと。「上場直前に資金を入れていた今のCEOである伊東氏が関係する比較的持分の多い株主(C社とH社)は、伊東氏がロックアップをつけないという条件を話していたようで、ロックアップがついておりません。よって、ちゃんと手続きをしていれば上場日から遅くとも3日以内には売却可能となっています。4-5ドル近辺で売却できたはずなのでそれなりの利益を得ていらっしゃる可能性もあるのではないでしょうか。また、持株数が少ない株主達も同様にロックアップがついておりませんので株主全員が損をしているかと言われると、そうではないと思います。」

ロックアップがついていた株主X氏はやるせない想いでいっぱいのようだ。「3月に伊東CEOは、”自分の方が創業者の小松氏よりも上手くやれる、小松氏の残した資金契約だと株価低迷時にはせいぜい30億円しか調達できないが、自分は今50億円以上の資金調達を計画している。UAEの契約も早ければ3月末には締結する、これも年間20億円以上の契約だ”と、かなり大きな話を豪語していたのに、4月になっても音沙汰ないので聞いてみると今度は”4月末までには契約できる”、5月に入った時は”あと2週間以内で契約できる”などと言い始め、挙句の果てには、”米国の独立取締役がサインしない”、”製品の性能が悪い”、”前経営陣のせいだ”と、どんどん言う事が変わるんです。私の他に複数名大株主はみんな同じ話を聞いているのでもう呆れ返っていますね。CEOに成り立ての時は我々大株主に、風呂敷広げまくった発言をしていたのに、自分の能力不足でうまくいかなかったら突然プロダクトや前経営陣のせいにするなんて経営者として失格です。」

確かに、他のメディアで伊東氏らしきインタビューを見るとプロダクトや前経営陣の批判らしきものを感じる。
しかし、今年4月に中東協力会社のCEOが、プロダクトの飛行能力についてメディアに対して「フライトショーは、XTURISNOが良い製品であり、XTURISNOが輸送手段の次の世代に向かっていることをとても、上手に示してくれました」と発言し、伊東氏もメディアに対し、「製品について政府関連機関や政府関係者から高い評価を受けました。中東での合弁会社および製造拠点の設立・運営はそこまで来ていて、中東環境 に合わせた製品の使用を見据えて、現地パートナーとの共同研究開発も推進していきます」と発言している。この内容は、中東の主要ニュース「ARABNEWS Japan」の2023年4月5日の記事(執筆者 アミン・アッバス氏)で確認することができる。
時系列から考えて、上記が正しく、伊東氏が最近日本のメディアに語ったインタビュー内容が嘘であることが容易に想像つくだろう。

別の元同社社員B氏は、「そもそも伊東氏では能力的に無理があるのだと思います。上手くいったら自分の手柄、失敗したら他人のせいという概念を持っており、自尊心が高く、社員のことよりも自分のことを優先している一方で、まるでそうは見えないように嘘で取り繕う。そんな人物です。最初はみんな騙されていたのだと思います。私も騙されていましたね。口は上手かったですから笑 まだ信じきって騙されている元社員もいると思います。伊東氏は6月に1000万円近い金額を自身に振り込ませており、当時、管理部の方が伊東氏にそんなことは有り得ないから金返せって相当やり合ったと聞いています。結局、お金を返金したかどうかわかりませんが、社員に未払いの期間くらいはインセンティブや給与は返さないと流石にまずいと思いますね。未払いが起きた時も、創業者含む前経営陣は勝手に辞めて自分に責任を押し付けたとか社員に言っていたりしていて、困るとすぐ嘘をついて人のせいにする人なのだなと感じたことを覚えています。4月には全社員の前で180度違う発言をしていましたから。トップがダメだとどんな会社も壊れることを実感できたので個人的にはとても勉強になりました。」とのこと。

そして今回、伊東氏が契約した転換社債(CB)の引き受け会社L社の関係者からも話を聞く事ができた。「当初創業者の小松氏はL社ではないところとCBの契約を進めていたようです。私はお会いしたことは有りません。私がコミュニケーションしたのは伊東氏のみです。伊東氏にCEOが移ってから、何らかの事情によって創業者が残したCBの実行が長引いていたため、L社の方に話が来ました。正確には伊東氏のアクションが遅すぎてL社しか残らなかった可能性もあります。伊東氏は中東の契約書内容とこれから出すというプレスリリース案をプレゼンしてきました。ここまで確度が高いならテクニカルな要因で株価が下がっているだけなのだろうと調達を引き受けようってなったようでした。しかし、いつまで経っても伊東氏が話したことは実現しない。最近なんて連絡不能ですよ。完全に無視されています。プロダクトには期待していますが、ELOCのFormSの提出すらできないCEOのようですから伊東氏のことは厳しい目で見ています。」

風呂敷を広げるだけ広げ、自分がまるで出来る様に見せることが悪いことだとは思わないが、実力に見合うことを予想しながら発言するべきだろう。大きな話を言うのは自由だが、できなかったときに責任を取るのを忘れてはいけない。経営者としての根本を伊東氏は持っていないように思える。

そして最後に、意外な話を別の株主M氏から伺った。「悪い状態が続いていたので大株主一同で議論し合う案内があったのです。創業者の小松氏も参加されるようでしたので私も参加したかったのですが予定が合わず後日小松氏に連絡を取って、どんな議論したのか聞くと同時に伊東氏に株主代表訴訟しないのか?って聞いてみたんです。そうしたら彼は、”今我々ができることは応援することだけです”って笑 どこまでお人好しなんだって思いましたが、もしかしたら小松氏はもう米国側に頼まれても会社に戻る気はないのかもと感じ、非常に残念だと思いました。彼をよく知ってる株主達は皆さん彼が戻れば復活すると思っていましたから。」

さて、このように、改めて、悪しき心を持った詐欺師の口車に乗って良心的な経営者を追い出してしまうと会社として存続の危機に陥るというケースも本当にあるということだ。ましてや今回、最初は社員も信じていたというくらいに口の上手い詐欺師である。日本を代表するエアモビリティの第一人者だっただけに、悲劇的すぎる結末は日本の技術流出を抑えるためにも何とか避けてもらいたい。


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