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経済 弱り目に祟り目 事業再建を目指す企業を食い物にするハイエナ経営者③

 企業を運営するには資金面やマンパワーなど様々な要素が重要になるほか、経営者の手腕というものが問われる。ソフトバンクグループの孫正義CEOなどは、投資に失敗するなど赤字も生み出しながら、事業拡大に取り組んでおり、いまだに経営の第一線を走っている。

 しかし、そんな企業ばかりではないのが会社経営というものである。今回は、そんな悲運の会社の一つに株式会社A.L.I.Technologies(上場会社は米AERWINS Technologies Inc)がある。これまでに同社の元社員や株主に現状などについて話を聞くことが出来た。そこで分かったのは、悪意を持った伊東大地なる人物がCEOとなってから混乱と迷走を繰り返してきた悲劇的な経営実態であった。

 某メディアは同社が開発拠点としていた山梨県身延町の家賃等の未払いによって提訴されることを報じている。それによると2022年度は支払われているものの、2023年度は支払いがなされていないどころか代表者とも連絡がつかないというものである。つまり、伊東氏がCEOになってから何も支払いをしていないという事になる。本記事の第一回目で、伊東氏が創業者である小松氏を追い出した直後に自身に対してインセンティブを含む巨額の報酬を経理担当社員に命じて振り込ませていたことをご紹介した。本来その資金があれば身延町のような未払いが起きることはなかったはずである。
また、同社の日本法人は既に倒産認定をされており、倒産認定前に伊東氏は自らの責任を逃れるために別の人物を代表としてスケープゴートにしていることも分かっている。

 前回、株主からも「伊東氏は毎回言うことが異なる」ということ、別の投資関係者からも「伊東氏は虚偽の説明を行なっていた」ということを伺っており、上場企業のCEOとしてのモラルや自覚は皆無であった。
 某金融メディアにおいても伊東氏はSPAC側の独立取締役を交代させたことについて美談のように語っているが、当時を知る関係者から話を聞くとまるで180度異なる回答が得られている。「これ以上社内外に虚偽ばかり繰り返す伊東氏に加担してると証券詐欺に追い込まれてしまうのが恐ろしい」、「伊東氏の口車に乗せられて創業者を追い出してしまった事を後悔している」という。

 このまま、伊東氏が経営者として存続していても、会社として何らかの不正行為に巻き込まれ、企業として更なる大ダメージを受けかねないと思われることは明白だった。
流石に米国側はそれを察知したのか伊東氏をCEOから外したことが公開情報から分かる。それにしてもあまりにもこの対応は遅いのではないだろうか。伊東氏がCEOだった期間としての行動については、給料搾取、職務怠慢、サボタージュなど問題行動が多数あると思われるところ、日本語と英語の言語の違いを利用して米国側にも上手く立ち回っていたことが推測できる。しかしながら対応が遅いとはいえ、ようやくメッキが剥がれ落ちたのかもしれない。

問題はスタートアップが自治体と組んだ時にどうなるか?の課題も今回の報道で挙げられよう。誠実にコミュニケーションをおこなっていれば本来は自治体に提訴されることなどないのである。よって今回の問題は誠実な対話をせず後ろめたいことがあったために、逃げ続けた伊東氏の悪質な行動は想像に容易である。自身が高額なインセンティブを受け取っているのであるから尚更逃げたくなるのであろうが、他のスタートアップからするととんでもないネガティブな印象へ繋がってしまう問題につながる。今後、自治体がスタートアップと組むことに躊躇してしまう事態に発展してしまうかもしれない。その辺り、伊東氏はどのように受け止めているのだろうか。前回伺った元社員のコメント通りだとすると目も当てられない状態なのであろう。

表現自由の範囲での想像ではあるが、自身に都合の悪い人物を次から次へと虚偽をでっち上げて追い出し、株主、社員及び取引先にもその場凌ぎの対話を行った挙句、自身の責任を逃れるためにスケープゴートまで用意するといった一連のドラマのようなストーリーが見えてくる。なぜそのようなことをしたのか?は米証券取引委員会(SEC)の公開情報から分析できる。上場当時、役員インセンティブの枠取りをしていたため、これを独り占めするには自分自身が役員として中心に残ることが必要だったのではないだろうか。しかしあまりにも経営や投資家対応について素人だったため、事業を推進するどころか破滅に追い込んでしまったのではないかと思われる。

これらの教訓はベンチャースタートアップへの悪き印象にならないことだけでなく、今後同社が米国の経営陣によって健全な経営と成長戦略を推進して復活してくれることを切実に祈りたいものである。

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