人気俳優や音楽関係者と違法薬物の関係は度々報じられる。昔は、それほど大したキズにはならなかったが、今ではタレント生命を左右する重大事案になりかねない。そんな情報は様々あるが、そんな一つに大物歌手Aの疑惑があるのでご紹介する。
東京都渋谷区の大型商業施設が併設された駅ビルを抜けると、目の前にそびえ立つのは、街のランドマークにもなっているオフィスビル。垢抜けた雰囲気の男女が行き交う一角を尻目に、さらに歩を進めると、住宅街の手前に建つ豪壮なホテルに行き着く。
男がこのホテルに姿を見せたのは６月某日のこと。足早にロビーを抜け、人目を避けるように客室フロアへと向かうエレベーターに乗り込んだ。
しかし、男がある目的をもってこのホテルを訪れたのは、この日が初めてではなかった。
「今年の春ごろから通うになったようだ。ある時期には何日も連続で通い詰めていたと聞いている」ホテルの関係者はこう証言する。
男の目的は何なのか。誰の目も気にすることのない密室で何をしていたのか。その疑問を解き明かす前に、まずはこの男の正体について触れなければならない。
その男、「Ａ」はまばゆいライトが降り注ぐステージの上にいた。所属する音楽グループのメンバーとともに、大勢の観客からの声援に応えていた。
「Ａがメンバーに名前を連ねるグループは、１０代の女性を中心に若者から圧倒的な支持を集めています。Ａは結成当初からの中心メンバーでソロシンガーとしても活動。他のアーティストへの楽曲提供も手がけるなど幅広く活躍しています」（スポーツ紙記者）
グループはレコード大賞受賞や紅白出場など華々しいキャリアを積み、デビューから１０年あまりで名実ともにトップグループの仲間入りを果たした。
Ａもグループの成功と歩調を合わせるように成功の階段を昇っていたが、順調なキャリアに影が差したのが、数年前のことだった。
「Ａが突然、活動の休止を発表したのです。本人は当初、休養のためとしていましたが、その後、メディアの取材に音楽活動をする上での悩みを抱えていたことを明かしています」（同）
しかし、Aの私生活を知る者の中でこの〝定説〟を信じる者はほとんどいなかった。周囲の少なくない数の人間が、Aがずいぶん前から心身ともに耽溺しきっているものがあることに気づいていたからだ。
「シャブだよ、シャブ。それもかなりのヘビーユーザーだってことは業界では有名な話だよ」
芸能界の裏事情に精通する「ブローカー」はこう明かす。
各都道府県の警察や厚生局麻薬取締部、いわゆる「マトリ」にもパイプがあるこのブローカーの耳にはかなり以前からAと「シャブ」、つまり覚醒剤との接点についてよからぬ噂が届いていた。
「芸能人がクスリでパクられると必ず出るだろう。『次の逮捕者X』とか。で、みんなきっとあいつのことだ、いや、あいつだろう、とこう始めるわけだ。そんな時、オレの周りで真っ先に名前が挙がるのがAだった。実際、内偵に入った所もあったと聞いてるがな」
芸能界の裏側で浮かんでは消えるAの疑惑。当然、突然の活動休止の理由をその悪癖と結びつけて語る者も少なくなかった。そして、違法薬物に関する醜聞が複数の人間の口の端に上り始めてからＡが取った行動によって疑惑の芽はさらに肥大化していった。
「数年前ぐらいからかな、Ａが沖縄に頻繁に来ているという話を耳にするようになったのは」 こう明かすのはさる沖縄県警の関係者だ。
この関係者の元にはＡについてのさらに具体的な証言も複数届いていたという。
「Ａが沖縄で頼りにしていたのは県内では有名な資産家だ。この人物は複数の飲食店のオーナーを務める一方で、ヤクザと警察、両方に太いパイプを持っていることでも知られていた。交際関係も派手でＡ以外にも複数の芸能人と親交があったという話だ」
いわゆる「タニマチ」的な立場にいた人物であるようだが、県警内では警戒視する向きもあったという。
「店の中でクスリの『バイ（＝販売）』をしているという情報が複数から上がってきていた。その情報のひとつが、この実業家が所有するクルーザーにまつわる話だ」
前出の県警関係者は声を潜め、こう続けた。
「所有しているクルーザーは複数あるそうで、Ａはそのうちの１台を〝定宿〟にしていたという話だ。沖縄に来るとその船にこもりっきりになるんだそうだ。クルーザーが停泊するマリーナには内地の社長連中が所有する船がごろごろあって、県警の人間でも簡単には立ち入れない。それをいいことに、Ａが事実上の『シャブ部屋』にしてるんじゃないか、と多くの捜査員が疑いの目を向けていたよ」
取材を進めると、このクルーザーには名前が上がった実業家が経営する店と同じ名前が付けられていたことも判明した。
そして、この情報が県警以外にも漏れ伝わっていることも…。
「Ａの疑惑は県警だけでなく、マトリ、それに内地の複数マスコミもつかんでいると聞いている。あるメディアは今年から取材班まで結成して、Ａの一挙手一投足を追っているという話だ」（先の県警関係者）
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