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朝鮮総連の全体大会は北朝鮮へのアピール

画像は過去の全体大会の風景。日本において金日成主席、金正日総書記の肖像を掲げ、大会を運営(画像は、VERDAD編集部が入手)

本年5月、朝鮮総連は最重要会議である全体大会を開催する。
全体大会の中では、来賓のあいさつや「大会報告」の読み上げ、それに対する指名者の「討論」(一般的な大会報告に意見する討論ではなく演説のようなもの)、副議長クラスの「人事発表」などが行われる。

討論者は、総連の組織活動や青年同盟などの参加団体で成果を挙げた者など各分野から指名される。

討論者に指名された代議員達は討論原稿を作成するが、討論原稿は全体大会直前に中央本部の職員がチェックを行い、総連中央に都合の良い内容に改ざんし、その原稿を強制的に読まされるだけであり、討論者は各々が考える総連の活動や北朝鮮に対する「真実の訴え」はさせて貰えない。

また、大会報告では、4年間の活動方針が提示されるが、それがそのまま今後の活動に反映していくこともない。

なぜなら、大会報告で盛り込まれる今後の組織運営などの内容は理想を書き連ねたものであり、末端の総連職員や同胞にとってはどうでもよい内容が多々あるからだ。

例えば「金正恩総書記の偉大性教養」などと言われても、日本に向けてミサイル発射を繰り返す張本人を「偉大」と感じる人は少ないだろう。

また、「朝鮮学校の存続に向けた取り組み」に言及されたとしても、子どもがいない家庭や子どもが成人した同胞からすれば、取り組む必要性がない項目となる。

他方、「機関紙の購読者を拡大せよ」と言われても朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」を読みたい人など、同胞生活に熱心な人々や北朝鮮の主張を研究している学者陣、朝鮮総連関係者の動向を知りたがる警察関係者程度であり、一般の日本人には興味がない代物であり、簡単に販路を拡大できるものではない。

全体大会では、議長、副議長の人事が発表されるが、これまでの朝鮮総連の議長は死ぬ以外に変わることはなく、議長(現在は許宗萬)に都合の良いイエスマン親衛隊を副議長として再編成して終わるのがオチである。

すなわち「同胞には意味のない大会報告」、「改ざんされた理想だらけの討論」、「自らの保身のための議長体制を補完する側近人事」が発表される場、これが全体大会の真実となる。

一体、何のために全体大会をやるのか意味不明であり、同胞社会からすれば「幹部人事が変わる程度」という認識でしかない。

他方、総連中央幹部にとっては話が違う。全体大会とは「形式だけの最高意思決定機関」であり大会を通じて権力基盤は変わることは無いが、「偉大なる金正恩元帥・・・」などと北朝鮮に忠誠を誓う美辞麗句を並べる総連中央幹部の北朝鮮・金正恩に向けたアピールの舞台であり、現職幹部が幹部で居続けるための本国への訴えの場である。


そのため、いかにきらびやかな舞台装置を配して多数の出席者を動員し、総連が健在であることを北朝鮮にPRするためにも見栄えの良い大会にすることも重要な要素となる。


次回、過去の全体大会に参加した総連中央勤務員の体験をご紹介する。

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