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シリーズ:北朝鮮のミサイル発射 その狙い 1

2022.1.5付 朝鮮中央通信が報じた極超音速ミサイル

北朝鮮は9月末からミサイル発射実験を続けており、11月2日から5日にかけて、複数発のミサイルを発射し、3日には弾道ミサイルを発射しJアラートが再び響き渡った。Jアラートでは「ミサイルが日本列島を縦断した」などと誤報が流れたため、浜田防衛大臣が陳謝し、松野官房長官が事情説明をするなど、日本政権の混乱していた。
ミサイル発射実験を相次いで実施する北朝鮮の状況と今後の動向について、北朝鮮問題専門家に話を聞いた。

 そうしたところ、ミサイル発射の原因は複数あるとの回答を得た。今回は、ミサイル発射で指摘された問題点を深堀してみる。

 朝鮮問題専門家に今回のミサイル発射実験に関する北朝鮮側の狙いについて聞いてみたところ「北朝鮮の内部事情が影響している。実は、北朝鮮内部の情勢が、厳しい状況が続いており、食料不足などで餓死者も出ている。こうしたことは民衆にとっては不満であり、政権にとっては政権転覆を目指すクーデターにもなりかねない問題である。そこで、金正恩政権は、ミサイル発射実験を悪用した。ミサイル実験を相次いで展開することで、戦争間近とでもいう戦争機運を高め、戦争を理由にした恐怖政治を繰り広げ、内部の結束を強化することを考えている。戦争には国民総出で立ち向かう必要があり、政権不満を口にしていられない状態ともなり、市民の不満の目先を敵に向けることが出来るからだ」などと述べていた。
 北朝鮮は今年に入り、食料難が悪化しており、餓死者が出ている。北朝鮮支援団体代表は「北朝鮮事業を展開する実業家及び米国側の話は皆同じだ」とし「『苦難の行軍』が再び来た、北朝鮮の学者たちも『私たちの人生の中で苦難の行軍を2度体験することになった』と話している」との内容を当方も掲載したほどだ。
食糧難などの日常生活の不満は、貧しい国であればあるほど、人民蜂起、政権への武力行使、という方向に傾きやすい。
その昔、別の北朝鮮問題の専門家に「クーデターが起こる可能性はあるか」と質問したところ、「クーデターが成功するには、軍か秘密警察がクーデターを仕掛けなければならない。タイは軍が、ルーマニアでは秘密警察がクーデターを仕掛け、成功している。しかし、北朝鮮の場合は、軍と秘密警察である国家安全保衛省を管理するシステムが出来ており、早々クーデターが成功する要素はない」との見立てを述べていた。
北朝鮮がミサイル発射を相次ぐ一因が、人民の不満への対応にあったとは予想しなかった。それほど、人民の生活が脅かされており、「北朝鮮市民は餓死と隣り合わせの環境にあるのか」と考えると、何か支援する手立ては無いのか、と心を痛めるばかりである。
ミサイル発射を相次いで実施しているということは、それだけ燃料費や資材費をつぎ込んでおり、そのカネが食糧に回れば何十万人規模の人の命が救われるのに、と考えてしまう。最近になって、ロシアと北朝鮮を結ぶ列車が運行再開したという。ロシアから北朝鮮に小麦などの物資が流れ、人々が食つなぐことができることを期待したい。

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