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北朝鮮のミサイル発射の真の狙い、性能向上に関する韓国・軍事問題専門家の見解

北朝鮮は、1月5日、慈江道から短距離弾道ミサイルを発射した。これ以降、北朝鮮は、ミサイル発射を相次いで実施しており、3月24日にはICBMと見られる「火星17」を発射した。ここ最近、北朝鮮はミサイル発射を控えていたが、9月25日、ミサイルを発射した。また、報道では「追跡を難しくさせる変則軌道で飛翔した可能性があるとのことだ。
北朝鮮は昨年も、SLBMや超音速ミサイルなどの新型のミサイルを相次いで発射させている。北朝鮮のミサイル発射について、韓国の軍事問題専門家に聞いたところ、匿名を条件として次のような話をした。
<韓国・軍事専門家の見解>
 北朝鮮のミサイル発射実験は、2016年を境として変化してきている。2016年までは、ICBMなどの長距離ミサイルの発射に固執しており、北朝鮮のどこからでも長距離ミサイルが発射できるような実験を行ってきた。しかし、2016年以降、SLBMなど距離ではなく高性能のミサイルの実験が多くなってきた。
2016年から2021年までは長距離を飛ばすミサイルの発射は減ってきていた。これは、米国などが北朝鮮に長距離ミサイルを打つことに牽制を掛けていることも影響しているだろうが、北朝鮮側で長距離ミサイルの製造が一定程度可能になった表れともみられる。
 最新のミサイル技術は、ロシアなどから提供されたという説があるが、これは違うとみている。北朝鮮へのミサイル技術の流入方法として、我々の業界で取り上げられている一つの可能性を紹介する。
北朝鮮には、他国が脅威とするもう一つの優れた能力がある。それが、インターネットを介したハッキング能力である。このハッキングの技術を使って、諸外国から様々なミサイルなどの兵器の設計図を入手している模様である。しかし、ここに、北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返す理由がある。
北朝鮮は、様々なミサイルの設計図を手に入れているだろうが、この設計図には、ミサイルの内部部品やエンジンなどに用いる合金の指定の有無があったりするが、あったとしても簡単に入手できず、指定が無ければ、自前で代替品を調達しなければならない。すなわち、プラモデルの設計図だけを入手したようなもので、肝心の部品や接着剤がない。また、それに使われるエンジンも自前で用意しなければならない。
エンジンなどの設計図も手に入れているだろうが、物資不足の北朝鮮では、それぞれについても独自の技術で作り上げなければならず、外装から核となるエンジン、部品に用いる合金のバランスなど、独自に組み合わせて作り上げている。
近年、北朝鮮が発射するミサイルは、外装などは他国のミサイルに似ているだろうが、その中身は他国のミサイルの設計図を基に独自で開発されたものであり、北朝鮮オリジナルのミサイルと言っても過言ではない。
そのため、北朝鮮が独自に作り上げたミサイルは、本当に飛ぶのか、水中から発射できるのか、など、発射するまでその実力が分からない。そのため、北朝鮮としては、ミサイルの性能を確認する上でも発射実験を繰り返さざるを得ないのである。
北朝鮮は、様々な兵器類などの設計図を入手していると想定され、今後、従前のミサイルの改良型や、新たな種類のミサイルの発射実験をする可能性が考えられる。もしくは、ミサイルではない新型兵器の実験が行われることも思料される。
北朝鮮の科学力は、ソ連崩壊時に飛躍的に伸びた。これは、ソ連崩壊時に北朝鮮が職を失ったソ連科学アカデミーの科学者などを買収し、様々な技術の提供を受けたためだ。それは、核開発能力や生物化学兵器の製造方法のほか、ミサイル関連の技術も流入している。
北朝鮮の科学力は、ソ連から手に入れた技術を基に発展し、現代の新技術をハッキングして入手することにより更なる進化を遂げており、放置しておけば諸外国において更なる脅威の種となるだろう。(以上、専門家の見解)

 北朝鮮が今年になって、長距離ミサイルを発射するのは、ウクライナへのロシア侵攻が影響していると考える。ロシアと北朝鮮は古くから親密な関係にある。ミサイル発射は、ウクライナ侵攻をするロシアへの国際非難が高まり国際情勢が不安定化する「どさくさのタイミング」を狙っているほか、ロシア非難を強める米国への「嫌がらせ」として、米国へ距離が届くミサイルを発射しているとみられる。
北朝鮮のミサイル発射は、日本に対しても深刻な問題である。これまでのミサイル実験の着弾点は主に日本海であり、時には排他的経済水域内に着弾しているため、日本近海を航行する船舶にも脅威となっている。今後、ミサイル発射実験が繰り返され、着弾点が日本の領土内になる可能性も否定できない。日本人は「平和ボケ」しているところがあり、北朝鮮のミサイル発射が相次ぐことで、一般人は「またか」程度にしか考えないようになり、恐怖心が薄らぐ。日本政府は「北朝鮮に厳重抗議した」などと強弁しているが、拉致問題に関する交渉など一向に進んでいないことからしても、今の日本の外務省が北朝鮮とまともに交渉するパイプなど有していない。日本外務省が行う「北朝鮮への厳重な抗議」について、有識者から「抗議文を北京にある在中国北朝鮮大使館にファックス送信しているだけ」と聞いたことがある。これが事実なら、日本外交の実力などその程度ということである。
他方、北朝鮮の兵器能力の向上には、在日朝鮮人も関係してきた。日本の大学に進学した在日朝鮮人が、学術論文などの文献を入手し、北朝鮮に送っていたという。  
また、在日本朝鮮科学者協会(科協)という在日の科学者の連合体も物資の調達などに協力していた。ある軍事問題専門家は、「過去のミサイル発射時には、同タイミングで朝鮮総連が北朝鮮に寄贈した貨客船『万景峰92』が日本海を航行しており、ミサイルの飛行経路などの観測に使われた」などとする見解を示していた。
このほか、北朝鮮は、朝鮮総連が管轄していた朝鮮信用組合(朝銀)を「総連の打ち出の小槌」として金の出し入れを思い通りにしており、朝銀を使って錬金術のように金を生み出し、北朝鮮の財源としてきた。しかし、朝銀が破たんし、その機能は果たせなくなった。朝銀から朝鮮総連への融資と認定された負債は630億円規模だが、そのほとんどが北朝鮮に流れたであろう。
また、朝銀から借り入れを行った在日商工人や個人も、親族支援の名目に北朝鮮に送金しており、それらを合計すれば、北朝鮮には総計数兆円規模の金が日本から流れ、そうしたカネの一部が兵器開発などに利用されたであろう。
日本の中にこうした北朝鮮を支援する体制があって、今日まで北朝鮮が存続してきたこと、北朝鮮の兵器能力強化に一役を担ってきたことを忘れてはならない。

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